今回は、人の五感の内の1つである「嗅覚」について紹介させていただきます。
普段あまり深く考える事のない嗅覚ですが、筆者がコロナに感染し後遺症で嗅覚が約2週間麻痺してしまったこともあり人が生活する上で大切な役割を担っているのを認識させられました。
嗅覚の意外な機能や、よく考えればそうだったのかと思うような機能がありますので参考程度にでもみていただければと思います。
嗅覚とは・・・人がにおいを認識する仕組み
まずは、五感である「嗅覚」ですがどのようなプロセスで感じているかというのはあまり知られてはいないと思います。嗅覚というのは実は脳が判断しているのです。他の「聴覚・視覚・味覚・触覚」も脳の機能が大きく作用しているためすべての受容器官である「耳・鼻・舌・眼・肌(顔の神経が一番過敏)」顔に集中しているのは脳とのつながりが重要であるため近い位置に存在するのです。
なぜ近いかと言うと近い方が脳への伝達時間が短くなり、もしも遠い場合は距離が遠い分損傷の危険性が高まってしまうためです。
ではどのような仕組みでにおいを感じるかを下記画像にて説明させていただきます。
上図の様に、鼻腔(鼻穴の中)と脳の間は非常に近くなっております。この接点付近にはにおい分子のセンサーのようなものがついており(嗅上皮)、その奥にあるを神経を伝って脳ヘ情報が送られているのです。また脳内の扁桃体や海馬などの記憶や感情を司る部位にも働いています。
そのため、以外にもにおいで脳はかなり活性化しているのです。
においと味は同じだった・・・コロナの後遺症で味覚が無くなる理由
新型コロナ感染症の後遺症で味覚と嗅覚の麻痺が最も知られていると思います。筆者も実際に約2週間後遺症が残ってしまい味覚が無い事のストレスが非常に大きく味の大切さを思い知りました。
ではなぜ、嗅覚と味覚が同時に麻痺をするのかと言いますと実は両方嗅覚で感じているからなのです。それぞれの名称はオルソネーザル・レトロネーザルとよばれております。
オルソネーザル・・・鼻穴から入ったにおい
レトロネーザル・・・口内や胃などの体内から鼻に抜けるにおい(鼻から出るにおい)
このどちらも鼻腔内のにおいを感じる嗅覚受容器官からにおいを感じレトロネーザルでは味や風味として感じているのです。そのためコロナ感染症の影響によりにおいを感じ嗅覚受容器官の神経がダメージを負ってしまう事により正常に機能しなくなることによってにおいや味を感じなくなるのです。
話が変わりますがパクチーなど風味が強い食べ物が苦手な人とそうでない人がいるのは上記の嗅覚受容器官の感度の違いによって変わるのです。
においの科学・心理学
次は、においに関係する科学・心理学について紹介させていただきます。意外なものから「言われてみると確かに!」となるようなものがございます。
ぜひ参考にしてみてください。
においと記憶・・・プルースト効果
プルースト効果とは、においによって過去の経験に関係する記憶が呼び起こされることです。これはにおいの記憶ではなく物や人や状況などです。
例えばですが、
・昔の恋人が使っていた香水や柔軟剤のにおいを電車でふいに嗅いで思い出す。
・線香のにおいで祖父母の家を思い出す。
・昔の大好物のにおいで子供時代を思い出す。
私は最初のにおいと人を連想することが多く、友人や知り合いなどを「○○○さんのにおいだ」と思い出すことがあります。
においと病気について
においと病気も密接に関わっているものがございます。身体の状態が悪いと体臭が変化したり、鼻に直接関係のない病気による影響で嗅覚の機能が低下するものがあります。
・特有の体臭を発する病気・・・アルツハイマー病、パーキンソン病
・嗅覚の機能が低下する病気・・・アルツハイマー病、パーキンソン病、レビー小体型認知症
アルツハイマー病、パーキンソン病は独特な体臭を発するが自身の嗅覚の機能が低下しているため自分では気づくことが難しい病気です。また、すべてに共通しているのが脳の病気であるということも非常に興味深いです。
これらは、不規則な生活などが原因で発病の可能性が上昇するものであるため生活習慣にはより一層気を配りたいを思わされます。
女性が好む男性の体臭とは?
前提として、太っていたり生活習慣がだらしない為に身体が炎症を起こし発生している酸っぱいにおいなどは基本的に好まれません。
それ以外の個々の遺伝子的に発生している個人の体臭については嗅ぐ人によって好みが分かれるのです。
具体的には、女性に限ったことですが異なる遺伝子(HLA:白血球抗原)を持つ異性のにおいを好むようにできているのです。
何故かというと生物学的に遺伝子に多様性を持たせることによりより強い個体が出来るため、自分の子孫が生き延びる可能性を上げるために女性は無意識に遺伝子の遠い人のにおいを好むのです。逆に遺伝子が近い人のにおいを嫌う様にもなっているので父親のにおいを不快に感じるようになっているのです。
余談ですが、ピルを服用している女性は同じ遺伝子が近い人のにおいを好むようになるので服用している方はご注意ください。
嗅覚脳は鍛えられる
嗅覚と言うのは実は鍛えることが可能です。脳には可塑性と言い変化する機能が備わっており筋肉の様に鍛えると発達するのです。しかし、犬のようなにおい全般を感じる能力を底上げするのではなく鍛えた箇所だけとなります。
例えば、ワインソムリエやコーヒーソムリエの様にワインとコーヒーのにおいを日々嗅いで練習することによってワインソムリエはワインのコーヒーソムリエはコーヒーのにおいを嗅ぎ分ける能力が向上します。
まとめ
以上、嗅覚についての科学・心理学について紹介させていただきました。以外なものからそういわれればと言ったものがあったと思います。
普段あまり意識する事のない嗅覚ですが、筆者自身勉強していて非常に面白かったです。
ここまで読んでいただきありがとうございました。