元現場監督として勤めていました筆者が、現在現場監督の方やこれから現場監督になる方に向けてこの仕事の内容について紹介させていただきます。
立場が違うと仕事内容も違うので3つの立場から3つをピックアップして紹介させていただきます。
現場監督の仕事とは
そもそも現場監督の仕事は建設業になじみのない人にとっては何をしているのか分からないと思います。そんな時によくあるのが「職人さんに指示を出すだけでしょ」と言われることです。間違ってはいないのですが、答えとしては100点満点中10点程で中々一言では言い表しにくいです。
その理由は簡単で「やることが多すぎる」からです。 筆者自身、説明する際は、「ビル・マンション・病院etc.…を造る現場の管理をしている」とざっくり説明しました。しかし、インターンシップや職場見学などで学生さんなどに具体的に説明する際には大変頭を悩ませていました。
具体的な内容を思いつくままに下記に書かせていただきます。
・朝礼
・工程表作成、管理
・工事写真
・積算業務(コンクリート、足場、各資材・・・)
・施工図チェック
・施工図作成
・作業間調整
・業者への指示、作業品質管理
・安全管理
・設計事務所打合せ、対応
・諸官庁(役所・警察・消防・道路局・・・)対応
・近隣対応
・・・・・・
と1、2分程で出てきた内容です。
しかも動かす人数は1つの現場で千人単位になる現場もあり、何百人単位はざらです。大企業の管理職並みに人を日々動かしているのです。
上記のような大量の業務がございますが、実際の現場では複数名のスタッフで回していることもあるので【若手】【中堅】【所長】に分けてそれぞれの代表的な業務を3つずつ紹介させていただきます。
【若手】の業務内容
最初は誰もが通る若手の仕事内容を3つ紹介させていただきます。若手の頃は個人の担当業務もありますが、先輩や上司のサポートや手元をする事も多く、どんな先輩や上司そして現場に行くかによって辛さは全く異なります(上司・現場ガチャ)。しかし、担当業務は基本同じなので参考にしていただければ幸いです。
①工事写真
若手の業務と言えばで良く出てくるのが工事写真です。内容としては、各職種(鉄筋・コンクリート・建具・内装等)の仕様を確認し材料や施工状況の撮影を行います。そして撮影した写真を台帳にまとめるまでの仕事です。
この仕事の難しいところが3つあり、徐々に慣れてきますが最初は悩まされると思います。
①撮影する工事の仕様や撮影ポイントそして黒板の文章が分からない
②撮影できるタイミングが難しい、タイミングを逃す
③確認してもらう時に、先輩や上司の気分や謎のこだわりでダメ出しが出る
これらを解決する方法は、慣れることと周りの人とコミュニケーションをよくとることです。先輩や上司、そして職人さんに分からないことは質問していくことで早く慣れていきます。
②積算(足場・コンクリート等)
足場やコンクリートの積算は筆者が一番嫌いだった業務です。この業務は、足場では足場組建の際に仮設材のリース会社へ数量を発注するのですが、図面を元に拾いと言って数量を計算します。コンクリートではコンクリート打設の為に図面をもとに体積m3を計算します。
それぞれ共通することは、図面をもとにイメージしたり数値を確認しながら積算するため手間がかかります。また、足場の組建やコンクリート打設は大人数が関係する業務の為、ミスがあった際に最悪何百万単位の損失を被る可能性もあるのです。
この積算業務も慣れと先輩や上司に確認をしてもらうことで正確性を上げることが出来ます。
③安全書類
3つ目の安全書類ですが、これも非常に重要な業務になります。安衛法に規定されている書類もあり「作業間連絡調整法・KY書類・新規入場者・送り出し書類・作業員名簿・作業手順書・安全日誌」など日常的に処理する書類もあります。
大きい現場では事務員さんがおり、サポートもしてくれる場合もありますが、管理は現場監督の仕事の為不備がないかや不足が無いかの確認をする必要があります。書類によってはその日の現場作業か終了してからの書類もあるので残業確定の仕事となっております。
【中堅】の仕事内容
①図面管理
図面管理は現場の品質を保つために非常に大切です。内容としては制作された施工図が設計図に則しているかまた納まっているかなど様々な視点から整合性のチェックを行い修正指示又は修正を行います。
複数の職種や設計上の制約が関係してくるので非常に頭を使う仕事です。また、誤った内容で進めた場合現場がストップする場合もあります。(例:躯体・鉄骨・サッシ・家具・金物)
この業務を行うためには、様々な職種に精通し経験と知識が必要になります。また、分からないことは分かる人に聞く事も大切です。
②現場全体の把握・管理調整
若手の頃は多くても同時に数業種の管理でも問題ないですが、中堅以上になると現場全体を把握する必要が出てきます。次に紹介します工程的の調整や施工上の優先順位、そしてある作業を行うことによって他に支障が出ないかの把握など多くの事に気を使いながら現場が上手に進むために管理を日々行います。
③工程表管理
先程も少し触れました工程についてです、どんな作業にも所要日数があり、各作業には順番があります。例えば壁の下地を組立る前にクロスを施工できないなどです。そのような所要日数と順番を考慮し現場がスムーズになるように工程を考えるのです。
この業務では、関係者との打ち合わせや根回しが大事になるのでいかに密なコミュニケーションお行うかが大切になります。また、工程通りに行かなかった際に修正することもあるので常に予定通り進んでいるかの確認を行います。
【所長クラス】
①現場の予算管理
現場というのは、予算が決まっています。ゼネコンと施主がお互いの予算と積算の額をすり合わせ「この建物は○○億円で建てます」と約束をしその金額の中で作る必要があるのです。
積算を行う際にある程度細かく各作業の概算を出すのですが、実際に工事を行う際に概算通りに収めるように業者との打ち合わせなどを行い(実行予算)というものを作成し赤字にならずに現場が出来るかの本格的な予算を作成します。
そして、各施工会社との契約の中で予算オーバーになっていないかの確認を行いながら会社の利益を確保できているかの確認を毎月行っております。
大きい現場では何億というお金が動いているので非常に神経を使う仕事です。
②安全管理
現場所長は責任が非常に重く、死亡事故を始めとする事故が発生した際に「業務上過失致死傷」などの罪に問われる可能性がある立場で他にも近隣や公的書類などでも問題があった際に矢面に責任者として立つ立場です。
その中でも、安全は非常に大切で「安全第一・品質第二・生産第三」と言う様に最優先されるものです。法律でも現場責任者は現場の巡回をしなければならないという定めがる程です。
そして法律を逸脱している作業状況や、不安全な項目に対して作業員に対して指導することが義務付けられています。もしも事故が起きた際に現場監督が指導していない場合は危険な状況を認めていたとして処罰の対象になる可能性があるのです。
③顧客(施主)・設計事務所対応
現場所長クラスは現場の責任者として顧客や設計事務所との対応も重要な仕事です。顧客(施主)とはお金のやり取りや要望について打ち合わせを行ったり、設計事務所とはデザイン等の変更や図面についての打ち合わせを行います。
毎週の定例会議と言って現場・設計・(施主)が参加する会議があり上記の内容などについて打ち合わせを行い現場によっては毎回夜遅くまで行い一日がその会議で終わることも良くある話です。
まとめ
以上、現場監督の立場ごとの仕事内容を抜粋して紹介させていただきました。もちろんこれら以外に多くの業務がございます。
この仕事は、大変ですがやりがいが大きい仕事でもあるのでこれからの建設業を担う方々に参考にしていただければと思います。ここまで読んでいただきありがとうございました。