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静岡県のさくら保育園で起きた事件を心理面から解説

 昨今ニュースで取り上げられている静岡県にあるさくら保育園の1歳児暴行事件について今回は加害者・保育園側の立場から人の心理状態を心理面から考察したいと思います。

事件概要

 静岡県裾野市の私立「さくら保育園」で、1歳児を受け持っていた女性保育士3人が6月から8月にわたって園児の足をつかんで宙づりにしたり、倉庫に閉じ込めたり、カッターナイフで脅す、バインダーでたたくなどしていた問題で、保育士3人を暴行の疑いで逮捕した問題です。
 それに加え園長の対応が問題となっており、今回の暴行事件に対して「しつけの一環で行き過ぎた」との語られていたり。10月に口止めのために誓約書を書かせていたことも火に油を注ぐこととなり大炎上しております。 

※注意書き

抵抗できない、守るべき対象である1歳児に暴行するということは普通に考えると信じられませんし許されないこういです。なぜこんな事をしてしまったかを心理的な面から考察したいと思います。

 あくまで考察であり当事者をかばうつもりは一切ございません、似たような事件が起きないよう対策する参考になればと思い書かせていただきます。

 また、前提として人には「帰属の誤り」という心理があります。最初にこちらを説明してから本編に入らせていただきます。

心理面から考える

・前提:帰属の誤り(自己正当化)

 人間誰しもが持っている考え方で簡単に言うと「自分が起こした悪い出来事は環境や他人の責任にし、他人が起こした悪い出来事はその人の性格やパーソナリティだと判断する」です。基本的に頭と性格が悪い人ほどこの考え方が強いので身の回りにいる場合はご注意ください。
(例:私が太ってしまったのは、仕事のストレスが原因だからしょうがない・あの人は太っているからだらしない人だ)

・子どもは大人の言うことを聞いて当然と思っている

 多くの人や親が考えていると思いますが、「子どもは大人の言うことを聞いて当然」「大人の自分の方が立場が上だ」と思っているということです。これによって言うことを聞かない・思い通りにならないと苛立ってしまうのです。
自分も思うようにコントロール出来ないのに他人をコントロールしようなんて言語道断です。

①事件の発端(暴行した理由)
・ストレスが溜まり余裕がなくなった、自己コントロール能力が低下した


 事の発端ついては、保育士さんの仕事の忙しさやプライベートもあるかもしれませんが、ストレスがたまった結果最初の暴行が始まったと考えられます。私の知り合いに保育士がいたので分かりますが、帰宅後や休日も持ち帰らざる負えないほどの業務量・言うことを聞けない子供たち(当たり前ですが)・低い給料・人間関係など通常の会社員とは異なったストレスが日常で降りかかっております。

・人は心理状況で同じ出来事でも感じ方が変化する  

 例えばですが、電車で泣いている子供の声を聴いたとします。
朝の通勤の満員電車の場合(ストレスがかかっている状態)・・・うるさいな、こんな時間に乗ってくるなよ⇒苛立ち
休みの日や空いている電車(ストレスが低い状態)・・・気にしない、泣いてるなー⇒寛容
このように感じ方が違う方が多いのではないでしょうか、人はその時の心理状況によって感じ方が異なるのです。

・疲労やストレスによって自己コントロール能力(理性)が低下する 

 「ダメだと分かっていても食べてしまう夜食」、「永遠に始まらない帰ってから勉強しよう」の様に疲労やストレスによって自己コントロール能力(理性)が低下してしまいます。なぜかと言うと、脳が疲れてしまうからです特に前頭葉という人間にとって大切な理性を司る分野が疲労やストレスによりはたらきが弱くなってしまい衝動的・本能的な行動をとりやすくなってしまうのです。

②事件の拡大(複数人で長期間になった理由)
・事実上の容認がありエスカレート、周りの行動を真似た

 今回の容疑者3名は全員30代以上ということから考えると園の中でも年上であると思われます。そこから考えられることはまずは、言うことを聞かなかった子どもに対して暴力を加えてしまった際に誰も注意できなかった。そしてまた行う事によって他の人(暴行をした人と仲が良い人)が真似をして暴行を始めるという現象が起きたのだと思います。
また、しつけと称して自己正当化したことと複数人で行う事によってエスカレートしたのだと考えられます。

・人は周りの人のを見て行動する 

 「駅のホームで倒れている人を見つけたが周りの誰も助けないからと見て見ぬふりをした」「赤信号みんなで渡れば怖くない」「レビューの多い・良い商品を買う」など人は多くの場面で周りの人を見て行動しています。
これが悪い方向にはたらき、身近な先生がやっているからと容疑者の方々は犯行してしまったと思います。

・なぜエスカレートしたのか(社会的証明)(集団極化) 

 なぜ、エスカレートしたのかというとこれは先ほどの周りの人の影響が大きいです。なぜかと言いますと人は自分の味方や仲間がいることによって自分の行動や思考は正しいと思い込むのです。
 例えばですが、会議や話し合いの中で一人だけ違う意見を言ったりすると自信が無くなったり声が小さくなる人が多いと思います。しかし、賛成する人や仲間がいると安心したり自信をもって発言できるようになる心理です。これが悪い方向にはたらき、複数人で行う事により罪悪感が分散しエスカレートしていくのです。これはいじめと全く同じ構造です。集団極化という現象で、同じ意見の集団が集まると極端な行動をとることが起きるのです。

③事件の隠蔽
簡単に辞めさせられない現実・隠蔽する理由

 極めつけは、保育園側の隠蔽です。園長が口止めのための誓約書を書かせたりしていたということです。これは、いじめが発覚した学校が認めないのと非常に似ています。これは、認めれば自分の立場が悪くなるという自己保身と失敗を認めたくないという心理から来ていると考えられます。もう一つは、現実的な問題ですが保育士不足によって簡単に辞めさせられないという現状があるのだと思います。

・隠蔽する理由(失敗を認めない)(自己保身) 

 人が一番クリエイティブになるのは、言い訳をするときです。例えば遅刻をしたときや、仕事でミスをしたときなど、いかに自分の罪を減らすか、ひいては無くすかと必死に言い訳を考えたことがあると思います。これが、悪化すると無かったことにするなんてこともありそれが隠蔽というものです。

・簡単に辞めさせられない(保育士不足) 

 少子化の時代に、保育士不足というのも不思議ですが日本では現在、約40万人が働いていますが6万人もの人手が不足しているのです。労働環境が悪く収入が低いとなると淘汰されるのは当たり前ですが社会に必要な仕事であるため非常に大きな問題です。
 また、子供○○人につき保育士○○人と決まっておりギリギリの人数で運営している保育園では1人でもいなくなると運営が出来なくなるなんてこともあります。それに加え激務であるため辞めさせにくいという考えも理解はできます。

このような事件を起こさないためにできる事

 これまで理由を考察しましたが、ここではそれを踏まえて同じ事件を起こさないためにできる事を考えていきたいと思います。これは個人でできる事から、組織としてできる事を書いているのでご参考までに。

・保育士さんの仕事を減らす(余計な仕事をやめる) 

 今回の原因で大きいのは保育士さんが余裕をもって働けない環境だと思います。しかし、不足している6万人をいきなり増やすのは無理なので即効性があるのは「仕事を減らす」です。
 例えばですが、壁に貼ってある画用紙のキャラクターや動物などの飾りですが保育士さんの休みの日にやらせるほど必要なものでしょうか?そもそも無くてはいけないものでしょうか?
 また、行事もそんなに必要でしょうか年に3,4回程度でいいと思います。そんなに親がやりたいなら父母会で企画すればいいと思います。
 最後は、頻度を減らせる・無くせる書類は無いでしょうか毎日同じような書類を作成したりしていますが、それを週に1回や無くしたりできないでしょうか。毎日書いていると同じような事ばかり書いてしまい質が下がってしまうと思います。

・アンガーマネジメントを勉強する 

 怒りの感情をで後悔する行動をしないことを目的とした、心理面の行動です。私も勉強しましたが、衝動的な行動を抑えるのに効果的です。普段の生活でも役に立つので万人におすすめします。
 有名なのは「6秒ルール」です。これは怒りを感じたら6秒やり過ごすということで、この6秒を過ぎると衝動的な行動がかなり抑えられます。しかし、ただ我慢するのは難しいので例えば怒りを感じたら「怒りの点数をつける」「怒りを感じた時の身体の状態に意識を向ける(胃がむかむかする・頭に血が上っている等)」「どんな価値観で私は怒っているのかを考える」など意識を少し逸らすことによってあっという間に6秒やり過ごせます。  
 ただ、怒りをなくすのではなく落ち着けるものですので過信は禁物です。

・監視カメラを設置する 

 これは、実施されているところも多いですが環境的に対応する方法です。仮に暴行されても証拠が残るので可能性が減りますし、保育士さん側ももし子どもがけがをした際にあらぬ疑いをかけられる心配も減ると思うのでいいと思います。

まとめ

 今回は、非常に悪質なこの事件について解説させていただきましたがこれは氷山の一角だと思います。そのため、少しでも被害者を減らす為に協力できればと思い書かせていただきました。 
 ここまで読んでいただきありがとうございました。

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